竹林に佇む−−−−かぐや姫。
私の幻の「秘花」である−−−.
「かぐや姫」は、シンビの一輪の花なのではないか−−−−.
そのように思えるほど、竹とシンビの感性はぴったりなのである。
ラン展でも、竹とランを組み合わせた展示は多い。
だが、シンビ以外のランでは、少し、違和感がのこる。
やはり竹にはシンビで、竹の胎内には−−−幽谷がある。
シンビというランは、どう人間がいじくっても、東洋の美をなくさない。
だが、他の国で作り出されたシンビに、何か違うものを感じるのっは、
彼らの花に、東洋の、モンスーン気候の−−−−別な言い方をすれば、
竹林のさらさらの光、すずやかな風、流れる霧が見えないからであると思う。
この花が開いたとき−−−
私は、かぐや姫が少女から乙女になる姿を看たと思った。
そして、私は、竹取物語の「翁」の気持ちになった。
悪い虫、ナメクジを寄せてはならない。
男を近寄らせてはならない。
蘭の開花期には多くの人が来る。
この麗しい唇を見せてはならない−−−。
あれこれ考えた末に、花を後ろ向きにすることにした。
満開になるにしたがって、私は、悩む日が多くなった。
「かぐや姫」なら「交配」できない・・・・交配親に使えないからである。
そして、とうとう交配しないでしまった−−−。
花蕊の「変化」を−−−見るに偲びなかったからである。
95−245
Spring Vision
花径10cm
2月咲 大型種
Spring Vision
Profundity
今はとて天の羽衣着る折ぞ
君をあわれと思ひ出でぬる
竹取物語
(かぐやひめ昇天)
今はもうこれでお別れだと、天の羽衣を着る時に、あなた様をしみじみおなつかしいと思い出したことです。
yuyu take